焦土 ◎

僕はきっとダメだな
君さ飼ってくれないか
風にバラけっちまう前に
首輪で縛りつけて

ここはなんかいやだな
君さどっか連れてってよ
風にバラけっちまう前に
首輪でどっか連れ出してよ

振り返ってみると道端に散らばっていた
バラバラのバラけた僕が


焦土 ②

日が暮れて部屋で一人遠い雨の音を聴いていた
背中が痛みだした
外の明かりは天井に映える

蟷螂女 笑い声と ひきつった消防車の音とが
混ざり合って吐きそうになった
少し眠りたいんだ
  
夏の夜の長雨にぬれたアスファルトのにおいがした
痰を吐き出している
外の明かりは天井に映える
  
暗く濁った部屋に 酔った 気がした


焦土 ③  

冬の夜空 月一つ 強く輝いている
独りの帰り道 少し 咳きこんでいる


寄る辺ない寂しさが 冷たい空に 響いている

やさしさに慣れすぎて 思いが空回る
独りの帰り道 冬の夜空 光る月

もどかしいこの思い 冷たい月よ 受け止めて
寄る辺ない寂しさが 冷たい空に 響いている
痰が喉にからみつく 言葉に詰まる 俺がいる
もどかしいこの思い 冷たい月よ 受け止めて


焦土 ④  

昼過ぎ 公園 ひと缶呑んだ
耳障りな 親子連れ 笑い声

「退屈」にも 飽きられた 宙ぶらりんの心持ち
「退屈」にも 捨てられた どうにもならない
白けた風景 シャッターを切った
コントラストが 刻まれる

脂汗 にじむ
脂汗 燃える
町も 人も 燃える
燃える 燃える 燃える 燃える 燃える 燃える 燃える
一切合財 呑みつくす


焦土 ⑥  

キミはボクにやさしいけど どうせくだらない ゲーム感覚だろ?
それでもボクは かみつかないぜ いい大人だからさ

部屋を飛び出し 町にでるのさ
クズな自分を 見せつけてやる
胸を張って ごねてやろう そう思うのです

結構ボクはマジだけど どうせキミは 鼻で笑うだろう
それでもボクは かみつかないぜ いい大人だからさ

部屋を飛び出し 町にでるのさ
バカな自分を 見せつけてやる
胸を張って ごねてやろう そう思うのです

生き急ぐように バカになりたい いい年をした 大人だからさ
誇り高く生きてやろう 町に出てゆこう
最低の底 抜いてやろうぜ むかついたなら ゲロってやろう
誇り高く生きてやろう 町に出てゆこう


焦土 ⑦  

おかしな女が へらへら笑う
火の色のドレスが ゆらゆら揺れる

夢で笑うキミを 書き留めてみる
暗く冷たい夜 灯りがともる

揺れる火の色の影は 闇に踊りだす
独りのベッドルームで 影踏みを繰り返す

夜の波寄せる部屋で ひっそりとイくのだろう俺を
少なくともキミだけは 笑い飛ばしてみようか

踊る火の色の影は 闇を埋めてゆく
独りのベッドルームは影に沈み込んでく

夜の波寄せる部屋で ひっそりとイくのだろう俺を
少なくともキミだけは 笑い飛ばしてみようか
  
どこかで誰かがふと消えて 喜びも悲しみも残さないとして
こんな夜だけは キミだけはそいつを
笑い飛ばしてみようか


焦土 ⑨

カントリー・ロード(カバー)


焦土 ⑩

敗北と白の色は いったい何が違うのか?
曇り空に水面が溶け合う 捨てたものじゃないとお決まりの美しさ

俺には何も無いよ 朝まで

昔からいたわり続けてきた 捨てることのできない宝石は
誰にも見えない場所で 溶け合い形を無くしてゆく

俺には何も無いよ 神様


焦土 ⑪  

ダンスは苦手なんだろう? なんだか物静かだね
少しつらい夜ならさ しばらくそばにいるよ

寝ぼけ眼の太陽 なんだか寂しそうだね
少しつらい朝だから しばらくそばにいてよ

少し眠りコーヒーを飲んで 日はまためぐるのだろう


焦土 ⑬

この町を照らす この星を照らす
青白い光に ただ何となく 憧れている

土と石くれの塊が空で 輝いている

底の見えぬ空を 見つめ続けて病まぬ
青白い光に ただ何となく 憧れている

土と石くれの塊が空に 浮かんでいる
土と石くれの塊に俺は 寒気がする
土と石くれの塊に俺は 吐き気がする


焦土 ⑭

サラーム サラーム 四方山の海 ジャンクヤード 塩素水
閃く 断腸の思い 軽い 脳震盪 モルヒネ漬け

この町はそっと 僕らを抱きしめる 揺り籠の鐘は鳴り響いている
やさしい雨は降り積もってく 少し溺れそうになる

ずっと流されていく ずっと薄まって
溶けて消えちまうのさ バイバイまたね

サラーム サラーム 四方山の海 フィストファッキンブルース
My Dear 体罰 育成ゲーム レベル上げ 下がり調子

春の風邪をこじらせたのか クラクラり揺れている
草木や花々は サカリをむかえたみたいだな


焦土 ⑯

理想はもう 腐り果てて
犬も食わぬ 有様だぜ
説教なら 他所でやれよ
俺は俺の中にある 黒い箱をノックする

ガソリンを撒き散らせ 黒煙を巻き起こせ
閉ざされた黒い箱を ぶちまけてやるのさ

青い顔の 痩せた犬よ
涎たらせ いき倒れろ
息を殺し 腐り果てろ
重たすぎるこの頭 トロリトロリ掻き回せ

ヴィールスを撒き散らせ フリーズを巻き起こせ
閉ざされた黒い箱を ぶちまけてやるのさ


焦土 ⑰

呪いの言葉 ポケットに詰め込んで
見慣れた町を ヒタヒタ歩く
ヤニの色をした 唾を吐き出すと
コンクリート道路に 吸い込まれていく

揺らめいた空の火よ 湿気きった日々を ハイにかえしてくれよ

冗談めかして あなたは笑って
グラスの氷を カタカタまわす
プールの匂いが ツンと漂った
昼下がりの夢 昼下がりの夢

黒雲に祈れ 溜息を数えろ 舌を出せ 笑え


焦土 ⑱

午前三時
クソダラダレル
よれる沈む
クソダラダレル
つまる溜まる
クソダラダレル
わらう溶ける
クソダラダレル
サルは独り
クソダラダレル
サイの角も
クソダラダレル
午前三時
クソダラダレル
ミナダラダレル
クソダラダレル


焦土 ⑲

サラーム サラーム
穏やかな夜が
永遠に続きますように
サラーム サラーム
こんな気持ちで
朝起きられますように

この日々はそっと僕らを抱きしめる
揺りかごの鐘は鳴り響いている
やさしい風が吹き溜まってく
カラカラにひび割れていく

真っ白な旗はいつのまにかもう
黒く汚れてしまった
真っ赤な血の轍をたどってもう
何処にも帰れなくなった

空っぽの夜のジャンクフードレストラン
油 ひき肉 排水溝のような
真っ暗く 殺伐としたものが
君も僕ものみつくしそうさ

あぁくたびれ果てた
あぁくたびれた
いい気分さ

秋の夕の鉄の冷たさ
放課後の風景が
目蓋の裏側で
チカチカ瞬くみたいだな


焦土 ⑳

テレビの世界でクスクスバタバタバタついてるみたいだ
ノイズ ノイローゼ クスリ瓶 転がる 転がして遊ぶ

咽に刺ささった魚の骨
知らないフリをしている

消え失せてしまいたい気分 転がる 転がして遊ぶ
さかりをむかえたドラゴンみたいにくねくね踊り始める

このノドを引き裂け
このムネを引き裂け
心臓を泳がせろ


焦土 21

夕暮れた5号線
赤と黄色が渦巻く空に
つきささるクラクション
ゴムの焼けていく臭いがする
もう何回も何千回も同じこの道を歩むこの足の音を聴いた
止まった時間に鐘を打ち鳴らせ
今夜は歌って踊るんだ 朝日が照らすまで

ガラクタの町並みで僕らはそっとぶっ壊れてく
どうにでもよくなっちまって薄明かりに転がっている
もう何回も何千回も同じこの日々を歩むこの胸の音を聴いた
止まった時間に鐘を打ち鳴らせ
うまく息もできない夜に 声を枯らせ叫べ

唇を噛んだ 鉄の味がした
心は早鐘のように脈打つだろうか
止まった時間に鐘を打ち鳴らせ
今夜は歌って踊ろうぜ 朝日が照らすまで


焦土 22

黄色っぽい空に煙がたなびいてる
まるで廃墟みたいに静かな住宅地
家に戻ってみてもやることもないけれどnet-swimmingしてマスでもかいて寝よう
ボクは少しひきちぎれて
アキの空はすきとおった
どうにも素敵な気分さ
今日も明日あさっても こんな感じで 過ぎてゆくだろう

なるべく所属しないできれば依存しない
気持ちの良い笑顔で平和にやりすごそう
家に戻ってみてもやることもないけれど
ネッBATTLEFIELDで
人殺しでもしよう

蝗の群が空をくらいちぎる
そんな景色にくるってみたい


焦土 23

夜明けの晩に 時間ばかりが
永く永く感じられる

イヤホン越しの 電子ノイズが
上の空で 交わって

白く濁った 涙をこぼす
穴にすべり落ちていく

モニターに映るお前の顔は
青く萎びてくみたい

やがて迎えるバッドエンディングを
大人らしく 忘れられたなら
いっそこの頭を ぶちまけられたなら
ブルースは鳴り止むだろうか

彼岸を映す 液晶体に
笑い声が溢れてる

声をきかせて いつものように
馬鹿話を聴かせてよ

ギターを刻め
鋭く深く
無様なお前をえぐれ


焦土 24

キミはボクにやさしいけど どうせくだらねえ ゲーム感覚だろ?
それでもボクは かみつかないぜ いい大人だからさ

部屋を飛び出し 町にでるのさ
クズな自分を 見せつけてやる
胸を張って ごねてやろう そう思うのです

結構ボクはマジだけど どうせキミは 鼻で笑うだろう
それでもボクは かみつかないぜ いい大人だからさ

部屋を飛び出し 町にでるのさ
クズな自分を 見せつけてやる
胸を張って ごねてやろう そう願うのです

生き急ぐように バカになりたい いい年をした 大人だからさ
誇り高く生きてやろう 町に出てゆこう
最低の底 突き抜けようぜ むかついたなら ゲロってやろう
誇り高く生きてやろう 町に出てゆこう


焦土 25

自転車こいで
家から遠ざかった
心臓の鼓動を
耳元で感じた
振り返えらないさ
振り返えれやしないぜ
泣き出しそうだな
夏の日の曇り空
こぼれた滴を
感じて立ち止まった
何処かに貴方を
探した

夕闇せまる
公園の匂い
家に帰る時間だろう
バイバイ また明日ね
生ぬるい暗闇を
感じて立ち止まった
何処かに貴方を
探した


焦土 26

ざらついた孤独を抱いて 痛みが顔に刻まれて
くたびれたシャツみたいに擦りきれきって溜め息もらす
君のその痛みも かみ殺した欠伸も 退屈なコメディみたいだろう

運命や魂だとか ロマンティックな物語 そいつらに
そう 唾を吐いて この瞬間を さ迷い続け やがてくたばるだろう
虫けらの僕たちは 悪趣味な冗談みたいだから

今すぐに全てが音を たてて壊れて 終わってしまうとしても
全ての僕の生きた徴が まやかしみたいだとしても
いつか天を焦がす 欲望の火を灯し暗闇を照らしだしたい

最低なこの夜に そっと泣き出したっていいんだぜ
すべて土に帰るとしたって
この瞬間を 信じていたい
夢や希望なんていう 大袈裟な言葉さえ
こんな夜の果てに あるのだろう


焦土 27

未来へ 路地裏を駆け抜けて
未来に 未来にいかれていたい

子供の頃に
空に仰いでは
片手を伸ばし
掴もうとした
エーテルは今
どうでもよくなった

フェンス越しに見えた小川には
薬品ビンが漂っていた
砂場に築いた王国は
誰かに踏み潰されていた

全部どうにでもよくなった

未来へ バザールをくぐり抜け
未来に 未来にいかれていたい

大人になって
身の丈に合った
生活を探し
新しい町を
さ迷い回って
どうでもよくなった

フェンスを越えた先には
蜃気楼ばかりが漂っていた
砂場に築いた王国は
牢獄みたいなものだった

全部どうにでもよくなった

未来へ 狂想曲を捧げよ

あの頃とこの瞬間と
行ったり来たりを繰り返し
境界線上のポケットを
何度も何度もまさぐって
砂場に築いた王国は
明日へ続いていくのだろう


焦土 28

どっかの誰かが膝まづく
神様は黄金のシロップらしい
一さじ程度舐めたいな
気持ち良く痺れさせてくれないかな

吐きたいぐらい穏やかに
一日がゆっくりと回ってく
時計の針を進めよう
なんだか少しくたびれた気分

明け方の 雨に打たれた
冷たくなった脳ミソは

寝覚めの夢の中みたい
崖っ縁目指して突っ走れ

どっかの誰かが膝まづく
焼け落ちてく町を眺めている
僕には関係ない事
慟哭 悲鳴 忘れてしまおう

吐きたいぐらい穏やかに
この星はゆっくりと回ってく
呼吸を数えてみるんだ
酸素が足りない気分だな

不協和音 暴力の気配
曇り空は流れ落ちてく

寝覚めの夢の中みたい
崖っ縁目指して突っ走れ

こんな僕らに キツイ一発をくれ


焦土 29

夜の帷が落ちたキッチンに独り
行く宛すらもわからない言葉を爪弾く
僕の声はいつも僕を生かす力
この手の平も心臓も繋がってる
夕闇はしっとりと僕らを濡らして
イカサマばかりの町も塗りつぶしていく
僕の声はいつも僕を照らす光
その街の灯も星々も繋がってる
空へ

僕の声はいつも僕を生かす力
あの優しさも哀しみも繋がってる
空へ


焦土 30

ガラクタの山に
埋もれた君は
磁石を無くした
スナネズミだろう
辺りを嗅ぎまわる
カラカラカラカラカラ滑車を回せ 走れ
ガラガラガラガラガラドル箱をかき回せ
スクラップヤードをさ迷って
プラスチック張りの虫籠に
引っ掻き傷すら残さない
イライライラつくだけなのさ
私はそう ひどく不恰好だ
血と肉の通わぬ鋼鉄のホイール
知と理のコンパスにすがりついた
シャンパンバレーに夢を見て
足元すらも見えなかった


焦土 31

まっ白く焦げついた
この町の底近く
コールタールのような
影を引きずり歩く

いつもの無様な手紙を書くのさ
冗談みたいな文句を並べて
絢爛豪華にシンバルを鳴らせ
さっぱりカッコつかないな

まっ黒く焦げついた
精神の残りかす
こそぎ落とすかのような
音楽を探してる

いつもの無様な手紙を書くのさ
乾いた言葉に憧れ続けて
裸足の足はもう駄目になりそうだ
さっぱりカッコつかないな

いつもの無様な手紙を書くのさ
痛んでばかりの君に聴かせたい
死にたくないから生きる それだけの事を
信じて 感じてみたい

嗚呼 吐くまで走れ
あくまで走れ
地鳴りよ 響け 青い山よ
俺を押し潰せよ
吐き尽くせ 現在を 絞り出せ


焦土 32

リアルに うんざりさ
荒野を目指すんだ
生活の真似事は
血生臭くってさ 堪らない

嗚呼 感情という不協 和音に耳をすませたい
嗚呼 出来るなら 透き 通った声で笑えたなら

リアルに うんざりさ
剣と魔法をくれよ
飯事か こんなのは
残酷ばかりがさ 溢れてる

嗚呼 感情という不協 和音に耳をすませたい
嗚呼 出来るなら 透き 通った涙を流せたら

荒野すら 遠い
焦土に 祈れ 進め
感情をかき鳴らせ
泥の海 新月の
闇の中 でさえも
心の臓に 耳をすませ


焦土 34

空の光は十字路に
あまねく人らに突き刺さる

画面に映る暗い部屋
身体を刻む奴がいる
俺は虫さえ殺せぬ顔で
欠伸を噛み殺している

電気は満ちた十字路に
微かなささめきの音ばかり
君に触れ得る訳もなく
身体は透けて崩れてく

目を閉じて
数えてる


焦土 35

今日もまた 電車が止まった いつもの『事故』さ
笑えないコミックの中で 眠りこけよう
今日もまた フツーにイカれた 人間がいた
笑えない 青ざめた顔に もう笑えない

夜の片隅
誰からも忘れられた
人間の精神が
砕け散る音がする

耳を塞いでいる
悲しい気分に 感染症に
鼓膜の奥を 焼かれないように
瞼を閉じている
冷たい空に 煤けた朝日に
瞳の奧を 焼かれないように

今日もまた 血みどろの嘘が ばらまかれている
笑えないコミックの中で 眠りこけよう
今日もまた 毒が降り注ぐ 降り積もっていく
笑えない 青ざめた空に もう笑えない

僕らは空の色に
呪いの言葉を呟くだけで


焦土 36

非人間的な 黒い昼下り
マ糞ナルドのクソ 肉詰め込んだ
俺達は 犬の眼をしていた

血が 生まれが 全て そう全てなのさ
平和主義者らに 花束を
負け犬らには 皆殺しの歌を歌え

斑の犬が ビルの谷間に 踊りだす

黄昏 退廃の帝国
黄金色のビルディング

マーブル模様は
谷底 満たす
白昼の悪夢

黄昏 退廃の帝国
黄金色のビルディング

崩れて落ちた Amen
ドル札の雨がふる
雨 雨 雨がふる


焦土 37

明日に期待は持てやしない
今日の遊びも面白ない
大人でも 子供でもない
化物じみてしまっただけさ

バグってる宿命がリアリティの境界線バグらせる宿命が
境界線のリアリティバグりだす宿命が走り出す

死にたいわけじゃ勿論ない
生きたいと叫ぶほどじゃない
ケモノでもヒトでもない
化物じみてしまっただけさ


焦土 38

ミラーボールに 頭をぶちまけたのかい
真っ黒く変わっちまったね
百年来の雹の雨に バラバラにされたかい
真っ黒く変わっちまったね

誰からも愛されず
イケるなんてラッキーさ
ふしだらな神様の愛情だけを
感じられるから

割れたガラスに その眼を引き裂いたのかい
真っ黒く変わっちまったね
百年来の氷柱の雨に バラバラにされたかい
真っ黒く変わっちまったね

誰一人愛さずに
イケるなんてラッキーさ
ふしだらな神様の愛情だけを
感じられるから

こんなつまらない夜だから
楽しもうよ ねぇ
売春婦共も 物乞い共も
騙してやろう

悲しいふりをした 傷つけたふりをした
ふしだらな神様は お前の事を
笑ってくれるさ


焦土 39

声に ならない叫び声が 遠くに聴こえてる
歌にも ならない狂った歌に 静かに震えてる

B29の爆撃の音が 遠くに聴こえてる
狂信者の行進の歌に 静かに震えてる

空を ひき裂いた飛行機雲に 大地は焼け落ちて
爛れた人間達は爛れた 子供を作った
 
ほら ツチグモ 殺せよ 殺してくれ

生き血はとうに搾りつくした今 渇いた俺達は
火を囲む伝わる温もり さえも忘れてしまった

声にならない叫び声がお前に聴こえる
歌にもならない狂った歌をお前に聴かせたい

ほら ツチグモ 殺せよ 殺してくれ
ほら ここだよ 殺せよ 殺してくれ


焦土 40

宙を舞え自殺志願者よ
諦めの昼と夜を越えて

西や東の砂の海で
硝煙の臭いに酔うだろう

道端にへたる猫は
アレルギー物質を
撒き散らしているね

宙を舞え自殺志願者よ
辺境へ エナメルの空へ

汚物ばかりを撒き散らす
血と肉の袋に成るだろう

道端にへたる猫は
アレルギー物質を
撒き散らしている
鼻歌混じりだ
半分死んでいるね

どうにもならない
いつも気分
どうにもならない
いつもの歌が少し歪んでいく


焦土 41

二十世紀の夢物語の
瓦礫の中で まどろんでたいな
誰も彼もが足元に墓穴
ばかりを 掘り進んでいく

怪物的なパクスアメリカーナに
猿と豚共に繋がれる喜びに
ぶっ殺されて 震えてみたいのさ
ただ 退屈に死にそうだ

今夜も少しだけこわい事をしよう
寝癖をなおそう 石鹸のさ 匂いでさ
夜を 見つけに行こう


焦土 42

渋滞の街の人達は
火薬の匂いを放ってる
猛毒すらも飲み干しちまって
明日を忘れ笑ってる

吐きそうに笑うその顔に
暇潰しゲームもう止まらない
血生臭さに狂っちまえたら
明日を忘れ笑ってる


焦土 43

普通ってやつが普通にぶっ壊れちゃってんのにな
普通のフリばかりくたびれたんだ
眠れず寝転んで
朝には
地を這う虫のように眠る

風景には誰も彼も俺もいない
息苦しいぐらいヒトの群
言葉に埋もれて
朝には
地を這う虫のように眠る

夜明けも晩も黒く塗りつぶした
明後日の今日にはスカイフィッシュが訪ねて来るかもしれないさ
ゆめまぼろしに食い殺されそうだ
明後日の今日にはスカイフィッシュが訪ねて来るかもしれないさ


焦土 44

百年来の嵐になった夜は 呼吸が深くなって
天井の模様を見つめている ドアは開かれている
微かな予感に未来は変わってくだろう
せめて バレないようにバグりなよ

見える物 見えない物を知って
知れる事 知れない事をわかってるこの頭 『俺』は
少し 壊れているのだろう
見えない力を信じ続けたいのだろう
せめて バレないようにバグりなよ

百年来の嵐が去った朝は 死んだ気分になって
知らない奴が語り広める言葉 知らないニュースばかり
縛り首にはさ 成りたくはないのだろう
せめて バレないようにバグりなよ
そいつは消え失せてた その姿は忘れられた
その爪と牙さえも 思い出せやしないさ そっと息を殺してよう

百年来の嵐が去った朝は ドアの鍵を閉めておこう
そっと息を殺してよう


焦土 45

通りは大騒ぎ祭り騒ぎとあるショピングモールの上無差別のFPSフェア射的ゲーム(む)情の雨上がり昼下がり三十ウン才職業不詳無色透明な中年うすべったい半笑いの男が人殺しだってネットで言ってた

馬鹿騒ぎは続いてる週末を生き急ぐ彼彼女らは無差別主義者同盟約を交わす(ス)ポーツマンシップにのっとっちゃってブスもブタもクソもガキも四捨五入して約障害者はこのゲームに殺されても自己責任だとのたまいやがった

常軌を逸している逸脱しても常人の顔をしている腹をかっ捌く奴がいる週末のチャイムがリン…リンチは今夜もリッチな炎であっちもこっちも滅茶苦茶に焼きつくしてしまうけれど悪趣味であれば興奮するだろう

悪趣味なほどに興奮するだろう


焦土 46

お前の
心は
見えない
そのほうが楽しい
鳥獣戯画のパレードにのまれ
て姦しく酔えるだろう

知らない
奴らの
ため息
どうでもいいよね
酩酊重度 つまらないジョーク
にから笑い死ねるだろう

黄色い蝶々の
目覚める
今際の際にも
ほんと自分に酔っていたい


焦土 47

あぁ金を無くした
また日給分スった
パチスロットに吹き溜まり鉛を飲んでいた
曇り空いつものスーパーマーケットいつものジャンクフード
いついつかはいつかは此処から抜け出すために

あぁ金がいるのさ
人並みに笑いたいぜ
クソFXにもはめハメ殺されちゃいそうだ
明日には入金しないと ヤバいな
俺は銀行屋という金貸しの犬 くたばりかけだ
最低だ今日は
せめて傷を舐め合いたい
金がありゃレジ打ちのあの娘も振り向いてくれるさ
金持ちは正義 精神衛生学の理解者
敗北者は医者にも掛かれずぶっ壊れてく

路上には
ごろつきポン引き高利貸し
広告屋が張り巡らす蜘蛛の糸
狭い空を覆い尽くすオブラート
足元を
照らす光がまた少しボケた
空の色は暗い 今に泣き出しそうだ
錆びついた頭の芯
砕けた
歪んだ光を愛してしまった
証明の解き方も忘れちまった
最終バスで乗り過ごしていた
揺りかごの鐘が鳴り止まないんだ
泣きながら嘘吐くお前の顔に
そして腐ってくその才能に
病める魂 止まぬ承認欲求に
俺は揺れた
光を感じた

手にできないものに心奪われてる感じ
最低と最高がいつも繋がっている
難しい話は分からない
いつだって地の底には
情念が沸々と煮えたぎってはいる

最低だ今日もサイコーの気分じゃない?
なんだか物語がそっと始まりそうな予感?
馬鹿げてる馬鹿にされるなんかいかれちゃってる
でも金があれば多分少し安心できる
金があれば多分そう 心安くは死ねる

思考の迷路に溺死する前に
はやく駆け抜けろ 生き残るんだ
最終回はまだみたいなんだ
揺りかごの鐘も鳴り止まないんだ
吐きながら自分を騙し続け
見える風景があるはずだそうだ
病める魂 止まぬ承認欲求に
俺は揺れた
光を感じた


焦土 48

ひどい夢みた朝は
二度寝できないけれど
目覚めたくない
意味は無いだろう
いつだって太陽は
道のない道
照らしっ放し
最高に無責任だろ

あまりに甘い夢は
殺して埋めたけれど
罪悪感だ
何も無いだろう
いつだってエンジンは
空回るまま
ふかしっ放し
最高に無責任だろ

明日は無いだろう
俺達に明日は無い
生き延びるだけ
ぶっ飛ばすだけ
最高に無責任だろ


焦土 49

夕立 溶かす
輪郭
縮んでは伸びる
感覚
そして十三階の奥の方
そっと暴力的な瞬間
火の花
空をさいた

夕立 濡らす
蜘蛛の巣
何時しか 独り
もつれる

ただ 息をした
開いた感情を素手で掴め


焦土 50

知らぬ内に夏も終わる
シケモク探した寝苦しい夜
ぬるい部屋

重い身体砂みたいだし
お天気の話だけきかせてよ
きかせてよ

白燐弾と砂漠に死んだ
緑色は知らない
いつまでも知らない色
いつも通り知らない顔

擦り切れてるスニーカー履いた
はたらけどはたらけど寝苦しい夜
ぬるい部屋

悪い奴らの歌を聴いた
緑色は袋叩きだった
叩き割って
埋めちまった
忘れられた

ふざけきった話だって分かり切っちゃいるけど
お天気の話だけきかせてはくれないか
ふざけきった話だって
分かり切っちゃいるだろう
お天気の話だけ
きかせてよ


焦土 51

静けさに追われてる
夜も更けたモーテル
トグロを巻くノワール
天を刺す角
赤黒く膨らんだ
月の露 滴る
堪らない 匂いだ
酩酊した夜だ
噛み締める度に広がる
むせかえる蜜の味
噛み締める度に広がる
神経毒に死ねる

休日のチャイムを待ちわびて今夜も
くたばったチェーンをキシ軋ませた
夜の交差点 光化学スモッグのせいか
星空は霞んでいるが
あまり見えないあのサジタリウスが
俺の星座だ 一つ歳をとった
二十代も過ぎた 眠る様な日々だった
気付けばまた少し独りになった
ロードサイドの湿気たウォールマートが
10年来の俺の飼い主だ
俺は山羊のようにただ月末を待ってる
モーテルまでのダルい時給労働
黄金の在処なんて信じちゃないぜ
生きる事 それは糞をもらすため
ただ食う事
Im still on the road
覚醒せよ
Im still on the road

閉店のチャイムを待ちわびて今夜も
くたばったチェーンをキシ軋ませた
貧相な客にからまれちまった
茹で蛸みたいな 酔っぱらいだ
飼い主のいつものインチキのツケだ

俺は山羊の様に苦虫を噛み潰す
ちっぽけなプライドは すり潰す
それは時給労働 Im still on the road
俺は山羊のようにただ月末を待ってる
俺は山羊のようにただその月を待ってる
そして月は満ちる そして月は満ちる
そして月は満ちる その場所は ロードサイドだ


目を覚ます 頭は妙に澄んでいる
右頬が鈍く痛む 返り血を拭う
終末のチャイムを待ってられやしない
世界は前後左右に深い
生きてる事が大好きで意味もなく興奮したい
俺の生命に
夜の街 星の海 サジタリウスも
連なって滝のように流れ落ちてる
自由は今そこにあった
さっき 少しそんな気がして
くたばったベッドをキシ軋ませた
空調の音が微かに聞こえた
夜明け前の眠いロードサイド
水平線はいつもそこにあった
流れ流れ流れ流されゆけば

Still on the road
Im still on the road

黄金の在処なんて信じちゃないぜ
生きる事 それは糞を食らうため
ただよう事
覚醒せよ
Im still on the road


焦土 52

滑舌の悪い政治家の
語るべき事など知るかよ
ワイセツブツチンレツ罪で
捕まってしまった奴がいて
安全そうな顔ばかりが
そっと幅をきかせた
「どうだっていい」
だけが本音のところだ
垂れ流すだけだ あーだから
「どうだっていい」
だけが本音のところだ
垂れ流すだけだ あーそう クソみたいだ
センチメンタルは死んでいた
語るべき事など知るかよ
真面目に腐っていった奴は
生きながら腑分けられたのさ
安全そうな顔ばかりが
もろに毒を撒いてた
「どうだっていい」
だけが本音のところだ
垂れ流すだけだ あーだから
「どうだっていい」
だけが本音のところだ
垂れ流すだけだ あーそう クソみたいだ
あーもう 阿呆らしい
痴れきったブロイラーだ 俺は
「どうだっていい」
だけが本音のところだ
垂れ流すだけだ あーそう クソみたいだ


焦土 53

何気ない痛みならば澱のように沈んでくだろう
あの夢が光ならば君は移ろわぬ影だろう

昨日の事をなぞるように明日も続いてくから
毎週あーだこーだとヒーローは旅をするだろう

ジングルベルが深夜のコンビニをそっと震わせたら
デジャヴった瞬間に 青ざめて途方に暮れろ

永遠に続きそうなウン号線の風景に
焼きつけられたのさ 目を覚ませよ さぁもう時間だぜ

何気ない痛みならば澱のように沈んでくだろう
あの夢が光ならば君は移ろわぬ影だろう

耳障りのいい半人前に悟い言葉なんかは吐きたくもない 吐きたくないが
ソレしか知りゃしない

陰鬱な空の色や何時か満たされた朝の話
飽き飽きするぐらいに聞かされてきたストーリー

突き刺さる事も無く上滑りしていくソレは きっと
クソみたいな紛い物 だとしても
馬鹿をやりなよ

明日の事はどうでもいいと
せめて言い聞かせよう
この胸が高鳴るなら信じよう
信じてみよう
昨日の君も死者の歌も
いつか忘れちゃうだろう
この胸が高鳴るなら信じよう
信じてみよう

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